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2.海外港湾の調査から
(1)国による港湾整備
港湾整備体制は、香港のみが異色である。香港においては、港湾整備政策の基本的なプランニングは行政組織の一つである発展局が行い、港湾インフラ整備の段階からは入札により民間(巨大資本グループ)に委ね、運営まで任されている。
一方、高雄港、釜山港では国家政策の一つに組み込まれており、国による港湾整備を行っている。
高雄港の場合は、大半が船社専用バース方式による運営となっている。
釜山港においては整備は国家機関が行い、コンテナヤードの運営は公社または第3セクターが行っている。
但し、高雄、釜山の両港とも効率化の問題を抱えているようであり、運営段階の民営化を模索している。
いずれにしても、国家として特異な成り立ちである香港港を除いては、国家政策の一環として国の発展をかけて港湾整備が行われている。
(2)フィーダー網
アジアの主要港湾では、欧米からアジア、アジアから欧米へと輸送されるコンテナ貨物の積み替え機能を強化しており、欧米との間の基幹航路とアジア域内のフィーダー網の接続基地としての機能を向上しつつある。シンガポール、香港には及ばないものの、近年、釜山港が日本並びに中国をエリアとしたフィーダー基地としての機能を強化し、取扱量を大きく伸ばしている。日本の地方港が、釜山港との間でのコンテナ航路の誘致を実現したのも、この現れである。
アジア地域内の港湾間の競争は、急激に増加する中国大陸からのトランシップ貨物をどの港が獲得するかという問題が大きい。立地的にみれば、中国中部・北部の貨物は神戸と釜山との間で、また中南部は香港と高雄との間で競争が行われる。
中国政府は強力に港湾整備を進めているものの、中国大陸は極めて広大であり、運輸ソフト面での未成熟など問題があるため、各港を中継地として、生産現場により近い港から出し入れする方式が依然として続く。さらに河口港が多く水深の確保が難しい(水深12メートルを超える港はほとんどない)ことから、基幹航路の船舶は中国の港に直接は入れず、地理的にも有利な既存のハブポートを利用せざるを得ないとみられる。
今後においても、松山港としてはこれらの港湾との航路を充実・活用していくことが必要であろう。
(3)中国の動向に注視
今回訪問した3港湾はすべて中国の近隣であったこともあり、同国の港湾整備について関心が高い。特に、香港はその将来ともからめ、華南地域での港湾整備について

 

 

 

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